皆さん、こんにちは。2024年に新卒エンジニアとして入社したY.H.です。
これまで25卒メンバーが1年目のリアルを発信してきましたが、今回は少し視点を変え、入社して約2年が経過した私の立場から、当社の「エンジニア育成の仕組み」を振り返ります。
当社の育成は、単発の研修を積み上げる形ではありません。入社前から入社後、そして配属後までを一本の流れとして設計し、段階的に自走できる状態へと導いていきます。
入社前に何を積み上げ、入社後に何を固め、配属後にどの力が伸びるのか。私が新卒エンジニアとして実際に経験した流れをもとに、その全体像を整理していきます。
目次
エンジニア育成の全体像
新卒エンジニアの育成は、入社前の「基礎の底上げ」と、入社後の「集中開発研修」の2段階で構成されています。
重視しているのは知識量ではなく、開発現場で「迷わない」「戸惑わない」ための基礎を作ることです。
実際の開発では、教科書通りの問題よりも「何から調べるべきか分からない状況」に直面することが多くあります。そのため、学習内容がそのまま実務につながるよう、研修の順序と到達点が設計されています。
入社前:基礎の底上げ(任意参加)
入社前研修は、入社前年の10月から入社直前の3月までの約6カ月間で実施されます。オンライン教材等を活用しながら、疑問点は先輩社員に相談できるため、安心して取り組めます。
10月〜12月:基礎領域の整理
当社の内定式は10月1日に行われます。その直後から入社前研修が始まり、次の内容を体系的に整理していきます。
- プログラミングの基本概念
- コーディング演習
- Webの構造理解
- セキュリティの基礎知識
目的は、入社後に扱う技術を前提知識として持っておくことです。基礎理解がある状態で入社後の4月からの研修に入ると、設計や実装の理解が進みやすくなります。
12月〜3月:PHP問題演習
入社前研修の後半では問題演習に取り組みます。実際に手を動かしてプログラミングを行い、最終的には高度な実装ができるレベルを目指します。
この後半の演習で最終レベルまで到達すると、コーディングの基礎が身につき、アルゴリズム思考や実装力は確実に鍛えられます。
入社後の研修ではPHPを前提に実装を行っていくため、この期間の演習量が大きな土台になります。文法の理解だけに留まらず、処理設計やコード読解にも時間を使える状態を作ることが大切です。
入社後:約3カ月の集中開発研修
4月1日の入社以降、約3カ月間は開発研修に取り組みます。この期間は、実務に接続する基礎体力を固めます。
目標は、自力で1画面または1機能を開発できる状態になることです。
設計書・仕様書の読み解き
入力・処理・出力の流れを整理し、何を作るのかを正確に理解する力を磨きます。設計の理解が曖昧なまま実装工程に入らないことが重要です。
実装演習
PHPやJavaScriptを用いてプログラミングを行い、特定の画面を4つほど開発し、詳細設計から実装、テスト仕様書の作成までの開発プロセスを一通り経験します。
完成度よりも、自分で原因を探れるかどうかが重視されます。この演習を通して、自力で画面機能を作る一連の流れを理解できるようになります。
- 処理の流れを追う
- デバッグを試みる
- 状況を整理して説明する
コード読解力
既存コードを読み、概要を説明できる力を養います。大規模プロダクトでは読む力が不可欠だからです。
テスト観点の整理
実装後は検証を行います。
- どの操作で
- 何が起き
- 結果がどうなるのか
検証の型を持つことが、配属後の安定につながります。

研修で身につく開発の基礎力
① 構造理解
Webアプリは通信と状態管理の連続で成り立っています。リクエストからレスポンスまでの流れを理解していると、調査の出発点を誤りにくくなります。
② データ設計力
データの関係性を理解していると、改修時の判断が安定します。どのデータが基準で、どの更新が他機能に影響するかを考えられるようになります。
③ セキュリティの基礎認識
当社が開発する予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、35万社という多くの事業者が利用するサービスなので、安全に作ることは前提条件です。
研修では入力値検証や権限設計の基本に触れ、実践的な理解は案件を通じて深めていきます。また、ISMSに沿った情報管理の概念も意識します。
④ 保守を意識した実装
コードは将来の自分や他のエンジニアが読む前提で書きます。
- 意図が伝わる命名
- 追いやすい構造
- 修正しやすい分割
実務で伸びたのは調査の進め方
配属後に最も伸びたと感じているのは、調査の進め方です。調査の型を身につけておくことで、実務の中でも「どこから手を付ければいいのか」が整理できるようになり、開発の現場で迷いにくくなっていきます。
基本となる流れは次の通りです。
- 正しい状態を定義
期待される挙動と現状の差分を明確にする。 - 再現条件を整理
不具合が発生する条件と発生しない条件を切り分ける。 - 根本原因を特定
処理の流れを追い、どこで問題が発生しているのかを特定する。 - 影響範囲を整理
修正がどの機能やデータに影響するのかを整理する。
特に影響範囲の整理は難易度が高く、変更がどこまで影響するかを冷静に整理する必要があります。私は先輩とのやり取りの中でこの観点が鍛えられました。

まとめ
当社の育成は、基礎を確実に習得しながら、各人の状況に応じて段階的に難易度を高めていく仕組みです。基礎が曖昧なままだと、2年目、3年目で伸び悩みます。だからこそ、最初の段階で基礎を徹底します。
一方で、新卒エンジニアにはコーディング経験者もいれば初学者もいるため、それぞれの個性と力量を見極めながら、次の段階へ引き上げていきます。入社前に土台を整え、入社後の集中研修でプログラミングや開発の進め方の型を身につけ、配属後の実務の中で調査の進め方や実装の判断力が磨かれていきます。
配属はゴールではなく、スタートです。実務の中で経験を積み重ねることで、エンジニアとしての視野はさらに広がっていきます。
根本から構造を理解したい。
実務で通用する力を身につけてプロダクト開発に挑戦したい。
セキュリティや周辺領域も含めて理解を広げ、エンジニアとして成長していきたい。
そうした志向を持って、自分から学び続けられる人にとって、この環境は大きな成長の機会になるはずです。
今回の記事はここまでです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回も、私と同じ24卒メンバーが登場します。今後は5人でブログを回していく予定なので、ぜひ引き続きご覧ください。