【2025年11月更新】品川の街に新たな価値を創出。旧シナガワグース跡地の再開発をレポート

株式会社コントロールテクノロジーは、品川駅から徒歩5分の品川インターシティに本社を構えています。

現在、当社の社内報では、JR東日本による高輪ゲートウェイシティの再開発と、京浜急行電鉄(以下、京急)による品川駅高輪口の再開発について、毎月レポートをしています。本記事では、2025年11月4日時点での、旧SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)跡地の再開発に関する最新状況を報告します。

このレポートを通じて、世界・日本各地につながる交通の中心地・品川が、世界に誇れる魅力的な都市としてさらに成長していく姿を追っていきましょう。

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目次
  1. 1.SHINAGAWA GOOSとは?
  2. 2.旧シナガワグース跡地の再開発の概要
    1. 2.1.4つに分けられる区画
      1. 2.1.1.A地区
      2. 2.1.2.B地区
      3. 2.1.3.C地区
      4. 2.1.4.D地区
    2. 2.2.品川駅西口再開発で最も注目されている新TOYOTA本社ビル
    3. 2.3.2029年度開業予定、品川駅西口再開発のイメージとは?
  3. 3.再開発の指標 「品川えきまちガイドライン」
  4. 4.現地レポート(随時撮影)
    1. 2025年11月4日
    2. 2025年9月26日
    3. 2025年08月29日
    4. 2025年7月22日
    5. 2025年5月23日
    6. 2025年4月18日
    7. 2025年1月22日
    8. 2024年10月22日

1.SHINAGAWA GOOSとは?

シナガワグースは、品川駅高輪口を出てすぐの好立地に位置していた複合施設で、ホテルも併設されているため、多くの観光客やビジネスパーソンに利用されてきました。かつてこの場所には、「パシフィックホテル品川」があり、品川エリアのランドマーク的存在として知られていました。パシフィックホテルは、広い客室と充実した宴会施設を備えており、国内外の観光客を迎え入れるだけでなく、結婚式や企業の会議など、さまざまなイベントに対応するホテルとしても親しまれ、京急の顔と呼ばれていました。

その後、パシフィックホテル品川はリニューアルを経て、2013年にシナガワグースとして生まれ変わり、新たに「京急EXイン品川」が施設内にオープンしました。京急EXイン品川は、京急グループが運営する京急EXホテルのひとつであり、宿泊施設だけでなく、レストランやショップ、イベントホールなどを併設し、多機能な複合施設として利用されました。

施設老朽化とコロナ禍の観光客減少が追い打ちをかけ、2021年9月にシナガワグースの閉館が決定しました。約40年にわたり品川の歴史を支えてきた建物は、その役割を終え、再開発計画により、現在は取り壊されています。

2.旧シナガワグース跡地の再開発の概要

ここでは、具体的に旧シナガワグースはどのように再開発されるのか、具体的な施策を見ていきます。

2.1.4つに分けられる区画

今回の開発は、京急の仮称では品川駅西口地区といわれており、開発は4つの地区に分けられています。

2.1.1.A地区

画像引用元:トヨタ自動車株式会社「トヨタは、2029年度東京・品川に、新東京本社を開業します

A地区は、旧シナガワグース跡地の場所を含むエリアです。ここには、トヨタ自動車の新本社が入るビルが建設される予定です。同地区は、敷地面積は東京ドーム約0.5個分、延床面積は東京ドーム約6.7個分です。建物は地下4階、地上29階建てでホテル、事務所、カンファレンス施設、多目的ホール、バス乗降場などが入ります。2025年度から着工しており、2029年度に開業予定です。

2.1.2.B地区

B地区は、現在グランドプリンス新高輪エリアとよばれている、プリンスホテル系列4施設がある場所を指します。現在も営業中ですが、同地区も再開発エリアに含まれています。

2.1.3.C地区

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武プロパティーズ、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発準備組合、独立行政法人都市再生機構「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

C地区にも、A地区のようなビルが建設される予定です。A地区が「駅と公園を連続的につなぎ駅前のにぎわい形成に寄与する広場、公園と連続したまとまりある緑地」がテーマであるのに対し、C地区は「品川駅からの人の流れを受け止める広場、緑豊かな地域の憩いの場となる広場」をイメージしています。品川駅直結のA地区からC地区へは、多くの人の移動が見込まれています。京急グループは、緑豊かな憩いの土地で落ちついた時間を過ごせる街づくりを目指しています。

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武プロパティーズ、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発準備組合、独立行政法人都市再生機構「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

A地区とC地区に完成するビルは、上記のような構造になる予定です。2つの地区の連携、分担が実現されることで、再開発がひとつのまちづくりとなっていくでしょう。

2.1.4.D地区

D地区には以前、衆議院議員の宿舎がありましたが、2012年に東京都が100億円で購入し、その後しばらく再開発に関する具体的な情報はありませんでした。しかし、2025年6月5日に行われた第30回東京都都市再生分科会にて、地上34階、地下2階、高さ約135mの超高層タワーマンションの建設が発表されました。着工は2026年度、竣工は2030年度の予定です。

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武不動産、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発組合、独立行政法人都市再生機構、東急不動産株式会社「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

2.2.品川駅西口再開発で最も注目されている新TOYOTA本社ビル

品川駅西口再開発で特に注目を集めているのは、日本を代表する大手自動車メーカー・トヨタ自動車の東京本社が、現在の水道橋から品川の再開発ビルに移転する計画です。品川駅は、愛知県豊田市の本社や名古屋市のオフィスへのアクセスに優れており、また、羽田空港への交通の利便性や、将来的に予定されているリニア中央新幹線の発着を考慮した結果として最適な選択と見られています。

トヨタの東京本社は1980年代初頭に工販合併に伴い、それまで分散していた靖国神社前の九段ビルや日比谷公園前の三井ビルなどを統合する形で文京区後楽園エリアに移転しました。しかし、現在のオフィスはJR総武線の飯田橋駅と水道橋駅の中間に位置しており、長年にわたり利便性が課題となっていました。今回の品川への移転は、交通アクセスの改善だけでなく、未来のビジネスチャンスを見据えた戦略的な決断です。

今回の移転プロジェクトの総事業費は約2,400億円を見込んでおり、そのうち約2,200億円が建設工事費、残り約200億円が既存建物の解体工事や企画検討費用に充てられます。

新しい本社では、実際のモビリティを社内に持ち込める仕組みを取り入れ、多様な人材が創造力を最大限に発揮できる環境づくりを目指しています。また、トヨタのオフィスだけでなく、品川全体が国際都市として新たなモビリティの中心地となり、地域の活気を高める存在になることが期待されています。

2.3.2029年度開業予定、品川駅西口再開発のイメージとは?

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武プロパティーズ、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発準備組合、独立行政法人都市再生機構「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

現在、具体的な再開発概要が定められているA地区とC地区は、異なる特徴やテーマを持って建てられています。

トヨタ新東京本社が含まれているA地区は、駅を中心とした一体感のあるまちづくりを基本方針とし、自然環境への配慮を重視した高層建築の配置計画を行っています。さらに、周辺の高層建築と調和するデザインや色調の統一が図られ、景観全体の統一感が強調されています。街の資産をいかして印象的な街の顔を創り出し、 駅前の賑わいを奥に広がる緑とつなぐ広場整備を進めることで、立体的で多層的な賑わいを生み出す景観形成が進められています。また、将来の開発を見据えた歩行ネットワークの整備にも力を入れ、周辺エリアとの連携を強化しています。新型モビリティハブも設けられ、従来の交通から逸脱した近未来な品川駅を創造します。

一方C地区は、品川の先進性を象徴する地区として、拠点性を意識した建物配置と周辺環境への配慮を両立させたまちづくりを目指しています。こちらもA地区同様に、周辺高層建築との調和を意識し、壁面分節によるデザインの工夫が取り入れられています。また、街の資産をいかした沿道景観の形成や、駅前の賑わいと周囲の緑を共存させる広場的な空間づくりが進められており、立体的で重層的な賑わいを演出するためのガレリアが設けられる予定です。さらに、将来の開発や基盤整備を見据え、多様な歩行者ネットワークを整備することで、A地区との連携を図りつつ、街全体の利便性と魅力を高めることを目指しています。

3.再開発の指標 「品川えきまちガイドライン」

品川駅西口を含めた品川駅周辺再開発において「品川駅えきまちガイドライン」が指標として設けられています。品川駅を中心に展開する新しい都市空間の創造を目指しており、この計画では、品川駅周辺の交通結節点としての利便性を活かし、品川駅の各方向でそれぞれの役割を強化することが目的とされています。同ガイドラインでは品川駅を「えきまち」と表記していることから、駅としてではなく、新しい「街」として生まれ変わる再開発の規模の大きさがうかがえます。

今回取り上げた西口は、「起伏に富む『地形・緑地』や多様な機能からなる『迎賓交流』をいかす」という目標が立てられています。西口開発では、A地区、C地区ともにMICEと呼ばれるカンファレンス施設の誘致を予定しています。

また、同ガイドラインでは、歩行者の利便性と快適性を高めるために、緑地空間や広場の整備が計画されており、品川駅前の賑わいと周囲の自然をつなぐ役割を果たすことが期待されています。特に、歩行者ネットワークの充実により、周辺地域とのアクセス向上が図られ、品川エリア全体の魅力を高めることを目指しています。このプロジェクトは、東京全体の発展を見据えた都市再生の一環であり、国際都市・品川の新たな顔を創り出すとともに、持続可能な都市づくりを実現するための取り組みです。

4.現地レポート(随時撮影)

現地に実際に行って撮影した様子をお届けします!

2025年11月4日

上記の写真は、先月と同じく、品川駅前の歩道橋から同じ画角で旧シナガワグース跡地を撮影した様子です。9月の段階では1つしかなかったタンクが2つに増え、工事がさらに活発になっていることが確認できます。

歩道橋には、国道15号品川駅西口基盤整備のため、撤去される旨の張り紙が掲示されていました。歩道橋の一部が通行止めになっており、前回と同じ画角での撮影はできませんでした。歩道橋の撤去も含め、工事がさらに進展していることがうかがえます。

2025年9月26日

上記左側の写真は、先月同様、品川駅前の歩道橋から同じ画角で旧シナガワグース跡地を撮影したものです。敷地内では重機の種類が大きく変わり、複数のクレーンが稼働しているのがわかります。現場には多くの作業員の姿が見られ、各所で工事が着実に進められている様子を確認できました。

中央の写真では、前回ショベルカーが稼働していた場所に、クレーンが並んでいるのが確認できました。山のように積まれていた土はなくなり、地面が整地されていることがわかります。各重機の周囲には黄色いバリケードが設置されており、敷地内ではトラックが行き来しながら、工事用具や木材を運搬している様子がうかがえます。さらに画面を拡大すると、鉄管を運んでいる様子を確認できました。現段階では、鉄管や鉄骨などの大型部材を固定し、接合や組み立てを行う工程が進められているようです。

右側の写真は、画角を変えて大型のタンクを撮影したものです。前回まで敷地内の中心部に設置されていたタンクは撤去され、新たにこちらのタンクが設置されたようです。先月と比較すると、今回は工事の動きがより活発になっていることが確認できました。整地を終え、新しい重機が稼働していることから、着実に工事が進行しているものと見られます。今後どのような変化が見られるのか、期待が高まります。

2025年08月29日

上記左側の写真は、先月に引き続き、品川駅前の歩道橋から旧シナガワグース跡地を撮影した様子です。敷地内に置かれた鉄骨の量が7月時点より少なくなっており、ショベルカーやクレーンが活発に稼働していました。敷地の上部では複数のトラックが資材や建設機械を搬出入しており、多くの作業員によって工事が着々と進められている様子がうかがえます。

右側の写真では、現場で複数のショベルカーが動いている様子が見えます。水色のショベルカーはダンプトラックに土を乗せており、敷地内の整地を進めていました。4月時点では赤茶色の土が積もっていましたが、今回は灰色と黄土色の土が積もっていました。これらは、先月確認したセメント系固化材を使用して、地盤を固めて強化する地盤改良工事が行われたと推察します。整地が完了するには、まだ時間がかかると考えられます。

2025年7月22日

上記左側の写真は、品川駅前にある歩道橋から旧シナガワグース跡地を撮影したものです。前回更地となった部分には多くの鉄骨が置かれており、タンクも新たに設置されていました。タンク近くには、建築ブースの上段と下段をつなぐ階段も設けられているため、工事が大幅に進展していることが見受けられます。大きなクレーンや重機も増えており、より本格的な工事が行われていることが確認できました。

右側の写真では、敷地内でショベルカーがセメントらしき材料を取り扱っている様子が確認できます。前回は敷地内全体に板が敷かれていましたが、今後はセメントを使ってコンクリートの整備や舗装が進んでいくと考えられます。シナガワグースの跡地には29階のビルが建設される予定です。地面の整備が完了した後は、いよいよビル本体の建設が始まると予想されますが、今後工事がどのように進展するか、期待が高まります。

2025年5月23日

上記左側の写真は、先月と同様、旧シナガワグース跡地を歩道橋の上から撮影しました。先月は大規模に土を掘削している様子が見受けられましたが、今回は掘削された部分が更地になっていました。土であふれかえっていた先月とは打って変わって、整然とした旧シナガワグース跡地の様子に思わず目を見張ります。

また、中央の写真では、視線をC地区側に移すと、先月は車や重機が雑然と配置されていた場所に、巨大な白いテントが設置されているのが確認できました。テントの中に工事に必要な物資が保管されているのか、それとも作業員の休憩所になるのかは明らかではありませんが、工事がさらにステップアップしていくことを示唆しています。

右側の写真では、作業場所の中心に、今後の作業計画や安全規則が記された看板が設置されていることがわかりました。そのため、2029年の開業に向けて本格的に工事が進められていくことが予想されます。近年は各地で土地の再開発が進められていますが、綿密な計画や安全対策があってこそ、再開発が成功するのだと実感しました。

2025年4月18日

上記左側の写真は、品川駅前歩道橋から旧シナガワグース跡地全体を撮影したものです。現時点では敷地内に建物は完成しておらず、大きな変化は見られません。しかし、前回1月の取材時と比較すると、現場にある車両の数が増え、多くの人々が工事に動員されている様子が伺えます。

特に印象的だったのは、中央の写真に見られる、土を掘削している光景です。奥に見える骨組みからも、地下への建設が推測されます。そこで、こで、本記事の2.1.3.C地区に掲載されている「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要」を確認すると、地下には駐車場が建設予定であることがわかりました。現在の状況から、地上に建物が完成するまでには、まだ時間がかかると考えられます。

右側の写真は、Wing高輪(ウィングタカナワ)の品川駅側の入り口を撮影したものです。新たな建物部分の工事が進められている様子が見受けられます。今回の工事箇所は、この入り口が品川駅と繋がり、国道上にデッキを形成する可能性を示唆していると考えられます。不確かなことも多いですが、期待が膨らみます。

2025年1月22日

上記左側の写真は、品川駅前歩道橋から旧シナガワグース跡地全体を撮影した写真です。全体で大きく変わった様子は見られませんでしたが、いよいよ今年が着工予定のため、これからの変化が期待されます。

唯一変化を確認できたのは、右側の写真の奥に見える、グレーの建物です。写真の様子から、現場で働く方々の仮設建物が設置されたと考えられます。これから本格的な工事が始まる予兆を感じました。

上記左側の写真は、品川駅前歩道橋から国道15号線を見下ろす形で撮影した写真です。新たに再開発用のスペースが確保されていました。

中央の写真は、Wing高輪(ウィングタカナワ)側の品川駅前歩道橋から撮影した旧シナガワグース跡地です。写真の後景には、国民生活センターと品川税務署が見えますが、この2つの建物も再開発区域に含まれています。

右側の写真に見える品川税務署は、名前の通り管轄区域には品川区ですが、品川区内には存在しておらず、住所は港区高輪です。このことから、過去にも移転の話が持ち上がったことがあるそうで、今回の再開発を機に移転する可能性も考えられます。同じ場所から画面の方向を高輪ゲートウェイ方面へ変えると、大きなクレーンが確認できました。

2024年10月22日

上記左側の写真は、品川駅前歩道橋から、旧シナガワグース跡地を撮影したものです。1カ月前にも撮影に来ていますが、これといった変化は確認できませんでした。この場所は2025年着工予定のため、まだ開発が進んでいないと予想されます。写真奥には、グランドプリンス新高輪エリアが見えます。こちらも再開発地域に含まれていますが、現在では、取り壊されるといった情報は出ていません。

中央の写真も、品川駅前歩道橋から撮影したもので、A地区の工事入り口が映っています。開発予定のC地区も見えますが、今はまだビルが立ち並んでいます。

右側の写真は、Wing高輪側の品川駅前歩道橋で撮影した旧シナガワグース跡地です。こちらも前回の撮影から特に変化はありませんでした。再開発場所が普段撮影している位置から見上げる場所にあり、柵で隠れている部分も多いため、再開発の様子が捉えにくい状態です。

これからも旧シナガワグース跡地の再開発をレポートするので、お楽しみに!