品川の街に新たな価値を|旧シナガワグース跡地の再開発をレポート(2025年1月22日更新)

株式会社コントロールテクノロジーは、品川駅から徒歩5分の品川インターシティに本社を構えています。

現在、当社の社内報では、JR東日本が中心となって進めている高輪ゲートウェイシティの再開発と京浜急行電鉄(以下、京急)が中心となって進めている品川駅高輪口の再開発について、毎月レポートをしています。これらに加え、今回から旧SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)跡地の再開発についてもレポートしていきます!

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レポートを通じて、世界・日本各地につながる交通の中心地・品川が、世界に誇れる魅力的な都市としてさらに成長していく姿を見ていきましょう!

目次
  1. 1.SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)とは?
  2. 2.旧シナガワグース跡地の再開発の概要
    1. 2.1.全4地区に分かれている旧シナガワグース跡地の再開発
      1. 2.1.1.A地区
      2. 2.1.2.B地区
      3. 2.1.3.C地区
      4. 2.1.4.D地区
    2. 2.2.品川西口再開発で最も注目されている 新TOYOTA本社ビル!
    3. 2.3.オープンは2029年度!生まれ変わる西口の再開発イメージは?
  3. 3.再開発の指標 「品川えきまちガイドライン」
  4. 4.現地レポート(随時更新)
    1. 2025年1月22日
    2. 2024年10月22日

1.SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)とは?

シナガワグースは、品川駅高輪口を出てすぐの好立地に位置していた複合施設で、多くの観光客やビジネスマンに利用されてきたホテルです。かつてこの場所には、「パシフィックホテル品川」があり、品川エリアのランドマーク的存在として知られていました。パシフィックホテルは、広い客室と充実した宴会施設を備えており、国内外の観光客を迎え入れるだけでなく、結婚式や企業の会議など、さまざまなイベントに対応するホテルとしても親しまれ、「京急の顔」と呼ばれていました。

その後、パシフィックホテル品川はリニューアルを経て、2013年にシナガワグースとして生まれ変わり、新たに「京急EXイン品川」が施設内にオープンされました。京急EXイン品川は、京急グループが運営する京急EXホテルの一つであり、宿泊施設だけでなく、レストランやショップ、イベントホールなどを併設し、多機能な複合施設として利用されました。

しかし、施設老朽化にコロナ禍の観光客減少が追い打ちをかけ、2021年9月に品川グースは閉館することが決定されました。約40年にわたり品川の歴史を支えてきた建物は、その役割を終え、再開発計画により、現在は取り壊されています。

2.旧シナガワグース跡地の再開発の概要

ここでは、具体的に旧シナガワグースはどのように再開発されるのか、具体的な施策を見ていきます。

2.1.全4地区に分かれている旧シナガワグース跡地の再開発

今回の開発は、京急の仮称では品川駅西口地区といわれており、開発は4つの地区に分けられています。

2.1.1.A地区

画像引用元:トヨタ自動車株式会社「トヨタは、2029年度東京・品川に、新東京本社を開業します

A地区は、旧シナガワグース跡地の場所を含むエリアを表しています。ここには、トヨタ自動車の新本社が入るビルが建設される予定です。当地区は、敷地面積は約23,600平方メートル(東京ドーム約0.5個分)、延床面積は約313,100平方メートル(東京ドーム約6.7個分)です。建物は地下4階、地上29階建てでホテル、事務所、カンファレンス施設(MICE:マイス)、多目的ホール、バス乗降場などが入ります。2025年度に着工し、2029年度に開業予定です。

2.1.2.B地区

B地区は、現在グランドプリンス新高輪エリアとよばれている、プリンスホテル系列4施設がある場所を指します。現在も営業中ですが、再開発エリアに含まれています。今のところ閉業などの予定はないため、再開発が行われるのかは未定です。

2.1.3.C地区

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武プロパティーズ、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発準備組合、独立行政法人都市再生機構「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

C地区にも、A地区のようなビルが建設される予定です。A地区が「駅と公園を連続的につなぎ駅前のにぎわい形成に寄与する広場、公園と連続したまとまりある緑地を」と題されるのに対し、C地区は「品川駅からの人の流れを受け止める広場、緑豊かな地域の憩いの場となる広場」をイメージしています。品川駅直結のA地区には、多くの人の移動が見込めます。その人たちがC地区へ移動して、緑豊かな憩いの土地で落ちついた時間を過ごせる街を目指しています。

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武プロパティーズ、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発準備組合、独立行政法人都市再生機構「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

A地区とC地区にできるビルは、上記のような構造になる予定です。2つの地区の連携、分担が実現されることで、再開発がひとつのまちづくりとなっていくでしょう。

2.1.4.D地区

D地区は、衆議院議員宿舎跡地で、2012年に東京都が100億円で購入しています。ここは、「再開発等促進区の区域」に入っているものの、「地区整備計画の区域」には入っておらず、具体的な再開発に関する情報は出ていません。

2.2.品川西口再開発で最も注目されている 新TOYOTA本社ビル!

品川西口再開発で特に注目を集めているのは、日本を代表する大手自動車メーカー・トヨタ自動車の東京本社が、現在の水道橋から品川の再開発ビルに移転する計画です。品川駅は、愛知県豊田市の本社や名古屋市のオフィスへのアクセスに優れており、また、羽田空港への交通の利便性や、将来的に予定されているリニア中央新幹線の発着を考慮した結果として最適な選択と見られています。

実際、トヨタの東京本社は1980年代初頭に工販合併に伴って、それまで分散していた靖国神社前の九段ビルや日比谷公園前の三井ビルなどを統合する形で文京区後楽園エリアに移転しました。しかし、現在のオフィスはJR総武線の飯田橋駅と水道橋駅の中間に位置しており、長年にわたり利便性が課題となっていました。今回の品川への移転は、交通アクセスの改善だけでなく、未来のビジネスチャンスを見据えた戦略的な決断です。

今回の移転プロジェクトの総事業費は約2,400億円を見込んでおり、そのうち約2,200億円が建設工事費、残り約200億円が既存建物の解体工事や企画検討費用に充てられます。

新しい本社では、実際のモビリティを社内に持ち込める仕組みを取り入れ、多様な人材が創造力を最大限に発揮できる環境を整えることを目指しています。また、トヨタのオフィスだけでなく、品川全体が国際都市として新たなモビリティの中心地となり、地域の活気を高める存在になることが期待されています。

2.3.オープンは2029年度!生まれ変わる西口の再開発イメージは?

画像引用元:京浜急行電鉄株式会社、株式会社西武プロパティーズ、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発準備組合、独立行政法人都市再生機構「品川駅西口地区 再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要

現在、具体的な再開発概要が定められているA地区とC地区は同じ再開発エリアでも異なる特徴やテーマを持って建てられています。

トヨタ新東京本社が含まれているA地区は、駅を中心とした一体感のあるまちづくりを基本方針とし、自然環境への配慮を重視した高層建築の配置計画を行っています。さらに、周辺の高層建築と調和するデザインや色調の統一が図られ、景観全体の統一感が強調されています。街の資産をいかして印象的な街の顔を創り出し、 駅前の賑わいを奥に広がる緑とつなぐ広場整備を進めることで、立体的で多層的な賑わいを生み出す景観形成が進められています。また、将来の開発を見据えた歩行ネットワークの整備にも力を入れ、周辺エリアとの連携を強化しています。新型モビリティハブも設けられ、従来の交通から逸脱した近未来な駅・品川を創造します。

一方C地区は、品川の先進性を象徴する地区として、拠点性を意識した建物配置と周辺環境への配慮を両立させたまちづくりを目指しています。こちらもA地区同様に、周辺高層建築との調和を意識し、壁面分節によるデザインの工夫が取り入れられています。また、街の資産をいかした沿道景観の形成や、駅前の賑わいと周囲の緑を共存させる広場的な空間づくりが進められており、立体的で重層的な賑わいを演出するためのガレリアが設けられる予定です。さらに、将来の開発や基盤整備を見据え、多様な歩行者ネットワークを整備することで、A地区との連携を図りつつ、街全体の利便性と魅力を高めることを目指しています。

3.再開発の指標 「品川えきまちガイドライン」

品川駅西口を含めた品川駅周辺再開発において「品川駅えきまちガイドライン」が指標として設けられています。品川駅を中心に展開する新しい都市空間の創造を目指しており、この計画では、品川駅周辺の交通結節点としての利便性を活かし、品川駅の各方向でそれぞれの役割を強化することが目的とされています。当ガイドラインでは品川駅を「えきまち」と表記していることから、駅としてではなく、新しい「街」として生まれ変わる再開発の規模の大きさがうかがえます。

今回取り上げた西口は、「起伏に富む『地形・緑地』や多様な機能からなる『迎賓交流』をいかす」という目標が立てられています。西口開発では、A地区、C地区ともにMICEと呼ばれるカンファレンス施設の誘致を予定しています。

また、当ガイドラインでは、歩行者の利便性と快適性を高めるために、緑地空間や広場の整備が計画されており、品川駅前の賑わいと周囲の自然をつなぐ役割を果たすことが期待されています。特に、歩行者ネットワークの充実により、周辺地域とのアクセス向上が図られ、品川エリア全体の魅力を高めることを目指しています。このプロジェクトは、東京全体の発展を見据えた都市再生の一環であり、国際都市・品川の新たな顔を創り出すとともに、持続可能な都市づくりを実現するための取り組みです。

4.現地レポート(随時更新)

現地に実際に行って撮影した様子をお届けします!

2025年1月22日

この写真は、品川駅前歩道橋から、旧シナガワグース跡地全体を撮影した写真です。

大きく全体で変わった様子は見られませんでした。いよいよ今年が着工予定なので、これから変化が期待されます。

唯一変化が見られたのが、この奥にあるグレーの建物です。写真を見る限り、現場で働く方々の仮設建物が設置されたのではないかと思われます。これから本格的な工事が始まる予兆のようで、ワクワクしますね!

この写真は、品川駅前歩道橋から国道15号線を見下ろす形で撮影した写真です。新たに再開発用のスペースが確保されていました。

こちらは、Wing高輪(ウィングタカナワ)側の品川駅前歩道橋から撮影した旧シナガワグース跡地です。写真の後景には、国民生活センターと品川税務署が見えますが、この2つの建物も再開発区域に含まれています。

品川税務署は、名前の通り管轄区域には品川区ですが、品川区内には存在しておらず、住所は港区高輪です。このことから、過去にも移転の話が持ち上がったことがあるそうで、今回の再開発を機に移転する可能性も考えられます。

同じ場所から画面の方向を高輪ゲートウェイ方面へ変えると、大きなクレーンが確認できました。

2024年10月22日

品川駅前歩道橋から、旧シナガワグース跡地を撮影したものです。1か月前にも撮影に来ていますが、これといった変化はありません。ここは、2025年着工予定なので、まだ開発が進んでいないと予想されます。写真奥には、グランドプリンス新高輪エリアが見えます。こちらも再開発地域に含まれていますが、取り壊されるといった情報は出ておらず、何かしらの形での再開発があるのか、未知な状態です。

この写真も品川駅前歩道橋から撮影したものです。A地区の工事入り口が映っています。開発予定のC地区も見えますが、今はまだビルが立ち並んでいます。

こちらは、Wing高輪側の品川駅前歩道橋で撮影した旧シナガワグース跡地です。こちらも前回の撮影から特に変化はありませんでした。再開発場所が撮影している場所から見上げる形なため、柵で隠れてしまっている部分も多く、再開発の様子が捉えづらいです。

これからも旧シナガワグース跡地の再開発をレポートするので、お楽しみに!