株式会社コントロールテクノロジーは、品川駅から徒歩5分の品川インターシティに本社を構えています。
当社の社内報では2024年より、JR東日本による高輪ゲートウェイシティの再開発と、京浜急行電鉄(以下、京急)による品川駅高輪口の再開発について、定期的にレポートしてきました。本記事は、これまでのレポートを引き継ぎ、2026年版として更新していきます。今回は、2026年1月6日時点における旧SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)跡地の再開発に関する最新状況をお伝えします。
2024年~2025年のレポートはこちら!


目次
1.SHINAGAWA GOOSとは?
シナガワグースは、品川駅高輪口を出てすぐの好立地に位置していた複合施設で、ホテルも併設されていたため、多くの観光客やビジネスパーソンに利用されてきました。かつてこの場所には、「パシフィックホテル品川」があり、品川エリアのランドマーク的存在として知られていました。パシフィックホテルは、広い客室と充実した宴会施設を備えており、国内外の観光客を迎え入れるだけでなく、結婚式や企業の会議など、さまざまなイベントに対応するホテルとしても親しまれ、京急の顔と呼ばれていました。
その後、パシフィックホテル品川はリニューアルを経て、2013年にシナガワグースとして生まれ変わり、新たに「京急EXイン品川」が施設内にオープンしました。京急EXイン品川は、京急グループが運営する京急EXホテルのひとつであり、宿泊施設だけでなく、レストランやショップ、イベントホールなどを併設し、多機能な複合施設として利用されました。

しかし、施設老朽化とコロナ禍の観光客減少が追い打ちをかけ、2021年9月にシナガワグースの閉館が決定しました。約40年にわたり品川の歴史を支えてきた建物は、その役割を終え、再開発計画により、現在は取り壊されています。
2.旧シナガワグース跡地の再開発の概要
ここでは、具体的に旧シナガワグースはどのように再開発されるのか、具体的な施策を見ていきます。
2.1.4つに分けられる区画

今回の開発は、京急の仮称では品川駅西口地区といわれており、開発は4つの地区に分けられています。
2.1.1.A地区

A地区は、旧シナガワグース跡地の場所を含むエリアです。ここには、トヨタ自動車の新本社が入るビルが建設される予定です。同地区は、敷地面積は東京ドーム約0.5個分、延床面積は東京ドーム約6.7個分です。建物は地下4階、地上29階建てで、ホテル、事務所、カンファレンス施設、多目的ホール、バス乗降場などが入ります。2025年から着工しており、2029年に開業予定です。
2.1.2.B地区
B地区は、現在グランドプリンス新高輪エリアとよばれている、プリンスホテル系列4施設がある場所を指します。現在も営業中ですが、同地区も再開発エリアに含まれています。
2.1.3.C地区

C地区にも、A地区のようなビルが建設される予定です。A地区が「駅と公園を連続的につなぎ駅前のにぎわい形成に寄与する広場、公園と連続したまとまりある緑地」がテーマであるのに対し、C地区は「品川駅からの人の流れを受け止める広場、緑豊かな地域の憩いの場となる広場」をイメージしています。品川駅直結のA地区からC地区へは、多くの人の移動が見込まれています。京急グループは、緑豊かな憩いの土地で落ちついた時間を過ごせる街づくりを目指しています。

A地区とC地区に完成するビルは、上記のような構造になる予定です。2つの地区の連携、分担が実現されることで、再開発がひとつのまちづくりとなっていくでしょう。
2.1.4.D地区
D地区には以前、衆議院議員の宿舎がありましたが、2012年に東京都が100億円で購入し、その後しばらく再開発に関する具体的な情報はありませんでした。しかし、2025年6月5日に行われた第30回東京都都市再生分科会にて、地上34階、地下2階、高さ約135mの超高層タワーマンションの建設が発表されました。着工は2026年、竣工は2030年の予定です。

2.2.品川駅西口再開発で最も注目されている新TOYOTA本社ビル
品川駅西口再開発で特に注目を集めているのは、日本を代表する大手自動車メーカー・トヨタ自動車の東京本社が、現在の水道橋から品川の再開発ビルに移転する計画です。品川駅は、愛知県豊田市の本社や名古屋市のオフィスへのアクセスに優れており、また、羽田空港への交通の利便性や、将来的に予定されているリニア中央新幹線の発着を考慮した結果として最適な選択と見られています。
トヨタの東京本社は1980年代初頭の工販合併に伴い、それまで分散していた靖国神社前の九段ビルや日比谷公園前の三井ビルなどを統合する形で文京区後楽園エリアに移転しました。しかし、現在のオフィスはJR総武線の飯田橋駅と水道橋駅の中間に位置しており、長年にわたり利便性が課題となっていました。今回の品川への移転は、交通アクセスの改善だけでなく、未来のビジネスチャンスを見据えた戦略的な決断です。

今回の移転プロジェクトの総事業費は約2,400億円を見込んでおり、そのうち約2,200億円が建設工事費、残り約200億円が既存建物の解体工事や企画検討費用に充てられます。
新しい本社では、実際のモビリティを社内に持ち込める仕組みを取り入れ、多様な人材が創造力を最大限に発揮できる環境づくりを目指しています。また、トヨタのオフィスだけでなく、品川全体が国際都市として新たなモビリティの中心地となり、地域の活気を高める存在になることが期待されています。
2.3.2029年開業予定、品川駅西口再開発のイメージとは?

現在、具体的な再開発概要が定められているA地区とC地区は、異なる特徴やテーマを持って建てられています。
トヨタ新東京本社が含まれているA地区は、駅を中心とした一体感のあるまちづくりを基本方針とし、自然環境への配慮を重視した高層建築の配置計画を行っています。さらに、周辺の高層建築と調和するデザインや色調の統一が図られ、景観全体の統一感が強調されています。街の資産をいかして印象的な街の顔を創り出し、 駅前の賑わいを奥に広がる緑とつなぐ広場整備を進めることで、立体的で多層的な賑わいを生み出す景観形成が進められています。また、将来の開発を見据えた歩行ネットワークの整備にも力を入れ、周辺エリアとの連携を強化しています。新型モビリティハブも設けられ、従来の交通から逸脱した近未来な品川駅を創造します。
一方C地区は、品川の先進性を象徴する地区として、拠点性を意識した建物配置と周辺環境への配慮を両立させたまちづくりを目指しています。こちらもA地区同様に、周辺高層建築との調和を意識し、壁面分節によるデザインの工夫が取り入れられています。また、街の資産をいかした沿道景観の形成や、駅前の賑わいと周囲の緑を共存させる広場的な空間づくりが進められており、立体的で重層的な賑わいを演出するためのガレリアが設けられる予定です。さらに、将来の開発や基盤整備を見据え、多様な歩行者ネットワークを整備することで、A地区との連携を図りつつ、街全体の利便性と魅力を高めることを目指しています。
3.再開発の指標 「品川えきまちガイドライン」

品川駅西口を含めた品川駅周辺再開発において、「品川駅えきまちガイドライン」が指標として設けられています。品川駅を中心に展開する新しい都市空間の創造を目指しており、この計画では、品川駅周辺の交通結節点としての利便性を活かし、品川駅の各方向でそれぞれの役割を強化することが目的とされています。同ガイドラインでは品川駅を「えきまち」と表記していることから、駅としてではなく、新しい「街」として生まれ変わる再開発の規模の大きさがうかがえます。
今回取り上げた西口は、「起伏に富む『地形・緑地』や多様な機能からなる『迎賓交流』をいかす」という目標が立てられています。西口開発では、A地区、C地区ともにMICEと呼ばれるカンファレンス施設の誘致を予定しています。
また、同ガイドラインでは、歩行者の利便性と快適性を高めるために、緑地空間や広場の整備が計画されており、品川駅前の賑わいと周囲の自然をつなぐ役割を果たすことが期待されています。特に、歩行者ネットワークの充実により、周辺地域とのアクセス向上が図られ、品川エリア全体の魅力を高めることを目指しています。このプロジェクトは、東京全体の発展を見据えた都市再生の一環であり、国際都市・品川の新たな顔を創り出すとともに、持続可能な都市づくりを実現するための取り組みです。
4.現地レポート(随時撮影)
現地に実際に行って撮影した様子をお届けします!
2026年1月6日

上記の写真は、品川駅前の歩道橋から同じ画角で旧シナガワグース跡地を撮影したものです。 三方向に分岐していた歩道橋のうち、2025年11月時点では通行止めとなっていた、品川駅からシナガワグース方面へ通じる部分のみが撤去されていました。前回はタンクが2つ並んでいましたが、それらが撤去され、全体的に重機の数も減っていたことから、取り壊しが完了したことがうかがえます。

こちらの写真は、旧シナガワグース跡地のA地区にあたります。A地区では地下4階、地上29階建てのビルが建設される予定です。建設に向けた準備として、地面の砂をならして板を敷くといった整備が進められている様子が確認できました。
これからも旧シナガワグース跡地の再開発をレポートするので、お楽しみに!